第四篇 軍争
☆☆☆無理せず、損をしないこと☆☆☆



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第2節 安全、平凡こそが最上の投資方法
第39回 仕込む前から成功している

 前回、本当に凄い投資は、平凡な投資の中に隠れているということを説明しました。平凡と思われる投資の中に、実は凄い技法が眠っているのです。そして今回は、平凡の中の凄さについて、説明したいと思います。孫子は、

 「昔の名将と呼ばれる人たちは、無理なく勝てるときに勝っているのである。だから名将の勝利には、奇策だとか、知略だとか、武勇だとかの手柄話が何もないのである。何故なら、戦って勝つのに間違いない状況で勝っているからである。間違いないということは、自身は必勝の態勢で臨んでいるので、敵は戦う前から敗北しているのである。」

 と、しています。これを株式投資に置き換えると、

 「歴史に名を残した名投資家達は、無理せずに儲けられるときに儲けていたのである。だから、名投資家の成功には、急騰銘柄だとか、仕手銘柄だとか、逆張りだとかの儲け話が何も無いのである。何故なら、仕込んで、儲かるに違いない相場で儲けているからである。儲かるに違いないということは、自分自身は必ず儲かる状況で仕込んでいるので、仕込む前から成功しているのである。」

 になると思います。みなさんは、諭吉さん、1万円について、どのように思われるでしょうか。ちょっと前に、「諭吉が泣いている。」というドラマがありましたが、お金の大切さ、諭吉の大切さをテーマにしたドラマでした。1万円もあれば、結構、色々なことができます。テレビの1万円生活ではありませんが、一人暮らしの食費だったら、充分です。居酒屋に行けば、4名分くらいの払いにはなります。スタバに行けば30回程度、マックなら20回程度行けます。安いものを探せば、1泊2日の国内旅行にも行けますし、ゲームソフトも、2本程は買えます。また、競馬では特券(言い方が古い)が10枚買えますし、年末ジャンボなら33枚買えます。また、発展途上国であれば、1年分の生活費になるでしょう。このように、1万円は、非常に価値があるものであり、大切なものなのです。

 しかし、逆の言い方をすれば、1万円は1万円であり、その価値は、それ以上でも、それ以下でもありません。例えば、あくせく働いて得た1万円も、競馬で儲けた1万円も、価値としては同じです。汗水流して働いた1万円は、価値があると思うのは本人だけであり、他の人は、全くそんなことは気にしません。同様に、難しい相場で、高いリスクを背負って儲けた一万円も、簡単な相場で、殆どリスクを背負わずに儲けた一万円も、価値は同じなのです。しかし、投資家としては、ハイリスクの時に儲けたという満足感があり、精神的な充足感が得られます。しかし、この充足感がどこから来るのかと言えば、それは、ハイリスクに打ち勝ったということからであり、強敵を選んで戦い、勝ちを得るということと同じことです。そもそも株式投資は儲けることが目的であって、儲け方が問題になるものではありません。1円でも多く儲け、1円でも損を少なくした者が、本当の勝者なのです。それなのに、儲け方にこだわるとなると、これは、「手段のために目的を忘れる」という愚かな行為に他ならないのです。

 ところで、投資家は、投資歴が長くなると、当初は大切な1万円であっても、そのうちたかだか1万円という感覚になってしまいます。現実の世界では1万円を大切にしても、投資の世界では1万円を軽んじるようになってしまいます。1万円の価値は、現実の世界でも、投資の世界でも、全く同じです。それなのに、多くの投資家は、その錯覚の世界に入り込んでしまうのです。どうして1万円を軽く見てしまうのか。それは、リスクを許容するために、ある一定の損を覚悟しなければならないということから来ていると思います。10万円を儲けるために、1万円の損を覚悟する。それならば、10回仕込みをして、1回成功すればトントン、2回以上成功すれば大儲けということです。そして、これをするためには、1万円というものの存在が大き過ぎては、ダメなのです。損ができなければダメなのです。株式投資では、百戦百勝は有り得ないのですから、どうしても多少の損は出てしまうからです。現実に1万円を損したとすれば、卒倒するような人もいるでしょう。このような人は、決して損をすることはできません。そうなると、その損を恐れるあまり、仕込みできないという破目になってしまいます。仕込みができないと、当然、儲けることはできなくなってしまいます。ですから、投資家としては、ある程度の損、つまり、1万円くらいの損は仕方が無いという感覚に、自分を置こうとするのです。だからといって、1万円の損を許容するのと、軽んじるのとは、意味が全く違います。成功率の低い銘柄を仕込むのは、1万円という損を許容しているのではなく、軽んじているのに他なりません。やはり、成功率を考えて、仕込み銘柄は選択しなければならないのです。

 こういうことから、途中で破産したり、自殺したりせずに、歴史に名を残した投資家たちは、決して無理な投資はしませんでした。その成功は、ただ、儲け易い状況で仕込みをして、儲けていただけなのです。ですから、本当の名投資家と言われる人たちの成功の陰には、急騰銘柄を追かけた成功話だとか、仕手銘柄を利用した儲け話だとか、逆張りを利用した勝負話だとかは、全く無いのです。世間一般が聞いて喜ぶような武勇伝や、勝負秘話などは何も無いのです。何故なら、このような投資方法は、リスクが高過ぎるからです。成功したときは、それこそ気分は格別でしょうが、失敗したときは、それこそ再起不能の状態に陥ることもあるからです。ですから、名投資家は、どんなに拙い仕込みをしても儲かるような相場状況で、仕込みをしていたのです。どんなに拙い仕込みをしても儲かるような相場状況というのは、それこそ、誰が仕込みをしても儲けられるような相場状況のことです。名投資家は、そういう相場を待って投資していたのです。その上、名投資家自身は、決して損をしないように投資方法を確立させています。誰でも儲けられるような相場状況で、損をしない方法で投資をしているのですから、儲かるしか無いのです。

 そして、ここでの教訓は、基本に忠実に投資を展開すること、つまり、リスクの少ないときに、リスクの少ない方法で儲けるということです。一か八かの賭けで行うのは、真の投資ではありません。それは投機というものなのです。皆が憧れるような方法は、名投資家が行うものではなく、単なる自己満足の産物だということを、理解しなければなりません。


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