第三篇 謀攻
☆☆☆リスクを減らした投資方法☆☆☆



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第4節 自己のリスク管理
第32回 素人が陥る3つの失敗

 前回、「能力」の欠如が、大きなリスクを孕んでいるということを説明しました。今回は、そこから生まれる3つの失敗について、具体的に説明したいと思います。孫子は、

 「君主が将軍を信頼できずに、軍に干渉した場合、憂慮すべきことが3つ起こるからである。まず、進軍してはならないことを知らずに進軍を命じたり、退却してはならないことを知らずに退却を命じたりして、軍を束縛することである。次に、軍隊のことを何も知らないのに、軍政に口を挟み、軍を迷わせることである。最後に、作戦のことを何も解らないのに、作戦に口を挟み、軍に疑心を抱かせることである。既に軍が戸惑い、疑心暗鬼に陥っていたら、そのことを知った第三国が攻め入ってくるのは当然である。だからこれを「軍を乱して、勝利を譲る」と言うのである。」

 と、しています。これを株式投資に置き換えると、

 「投資家が自身の「能力」を知らずに、投資をした場合、憂慮すべきことが3つ起こるからである。まず、仕込んではならないときに仕込みしようとしたり、撤退してはならないときに撤退しようとしたりして、仕込みを感覚で決めようとすることである。次に、株式投資のことをよく理解していないのに、理解したつもりになって、プロと同じ手法をとろうとすることである。最後に、投資方法など全く確立できていないのに、らしきものを作り、自分の失敗を正当化しようとすることである。既に、投資時期が分からず、投資そのものを理解できず、投資方法すら確立できていないのでは、いくら経験を積んだところで、成功できないのは当然である。だからこれを「法を乱して、成功を譲る」と言うのである。」

 になると思います。何故そうなるのかと言えば、自分の「能力」を自覚せずに投資をした場合、決して犯してはならないと言われている3つの過ちをしてしまうからです。その過ちとは、
 @ 仕込んではならないときに仕込みしようとしたり、撤退してはならないときに撤退しようとしたりして、投資を感覚に頼って決めてしまうこと。
 A 株式投資のことをよく理解していないのに、理解したつもりになって、プロと同じ手法をとろうとすること。
 B 投資方法など全く確立できていないのに、投資方法らしきものを作って、自分の失敗を正当化しようとすること。

 です。それぞれについての詳細は、次の通りとなります。

 まず、「仕込んではならないときに仕込みしようとしたり、撤退してはならないときに撤退しようとしたりして、仕込みを感覚で決めようとする」ということですが、感覚、つまり、投資したい、儲けたいと言う欲望で投資を決めるということです。もう、何度も、何度も申し上げていますが、投資家の9割は儲けられていないのです。また、感覚的に、最も安心して仕込みできるタイミングは、最もリスクが大きいタイミングなのです。「人の行く 裏に道あり 花の山」も、以前申し上げましたが、株式投資というものは、この格言通り、他の投資家と違った行動をとる事により、初めて成功できるのです。それは、心理的に買えない状況で買い、売れない状況で売ることなのです。買えない状況で買わなければならないのに、それを感覚に頼っていては、できる訳がありません。

 次に、「株式投資のことをよく理解していないのに、理解したつもりになって、プロと同じ手法をとろうとする」ということですが、具体的に言えば、ハイリスク・ハイリターンの銘柄に手を出したり、プロの運用方法をそのままやろうとしたりすることです。人気株や材料株、もっとひどければ、仕手株や解体株に手を出し、高レベルなデイトレをしようとすることです。ハイリスク・ハイリターンの銘柄は、短期間で大きく儲けられることから、多くの腕に覚えがあるプロ達が、参加してきます。前回も説明しましたが、このような銘柄に参加している投資家のレベルは、他の銘柄に参加している投資家のレベルよりも、格段に高いのです。そして、このような銘柄でも、成功する投資家は、参加者の1割ですから、普通の銘柄で成功できる実力があっても、成功できないことが多いのです。そういう意味で、選ばれた投資家たちの銘柄と言えるのです。そこに、何の実績も無い、大して儲けたことも無い投資家が参加して、果たして儲けられるでしょうか。1、2回は、ビギナーズラックやマグレで儲けられることもあるでしょう。しかし、頭に乗ると、3回目には、それまでの儲けの倍以上の損を食らわされることになります。また、プロの投資方法と同じようにやっても、必ず失敗します。投資方法は、自身に不足している「能力」を補完する形のものを採用しなければなりません。自身より、はるかに「能力」的に完成されているプロの方法で、自分も同じことができると思うのは、その時点で、破滅の道を行くようなものです。どうしてこのように違うのかといえば、それはやはり、プロはトータル運用を心掛けて実践しているからです。目先の損得勘定よりも、トータルでの損得勘定を重視し、嫌な感じがすれば、下がらなくても手仕舞います。ところが素人は、トータルという観念が確立できていないため、この銘柄で儲けるということにこだわってしまい、結果として、大きく損を出してからでないと諦められないからです。

 最後に、「投資方法など全く確立できていないのに、投資方法らしきものを作って、自分の失敗を正当化しようとする」ということですが、そのことに気付いている、気付いていない、の問題ではありません。儲からない投資方法は、全てまがいものです。それなのに、失敗したのは投資方法が拙かったのではなく、銘柄や相場の動きに騙されたと、訳のわからないことを思い込もうとする素人が、非常に多いのです。投資方法というものは、成功する為のものであって、失敗を正当化するためのものではありません。何度も同じ失敗を繰り返すということは、方法が間違っているのであり、銘柄や相場が悪い訳ではありません。自分自身に合った投資方法を作れずに、果たして成功することができるでしょうか。 このように、投資をしても良い時期がわからないで、投資そのものも理解できなくて、投資方法すら手の内に入れていないような状況にあることすら理解できなくては、いくら経験を積んだところで、成功への道が開ける訳が無いことは、冷静に考えればわかることだと思います。しかし、自分自身がその当事者になった場合は、それこそなかなか理解できないものなのです。そういう意味で、自分自身を知ることが成功への近道と言えるのです。

 そこで、ここでの教訓は、前回と同じように、自分の「能力」を自覚し、自分の「能力」に見合った場所で株式投資に参加するということです。そうしないと、必ずこの3つ失敗のうち、1つを犯すことになり、とりかえしのつかない破目に陥ってしまいます。勝ち組として、1/10に入る為にも、自分の「能力」の自覚は重要となります。


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