第二篇 作戦
☆☆☆株式投資の費用と損切り☆☆☆



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第3節 短期投資の実践
第23回 利食い千人力

 これまでは、仕込みの撤退について、損はしない、または、損は可能な限り少なくするということを、徹底して説明してきました。特に、前回は、私の実体験に基づいてご説明しました。それで今回は、利益確定、つまり利食いの重要性について説明したいと思います。昔から、何ゆえ「利食い千人力」と言われているのか、併せて考えてみて下さい。孫子は、

 「これと同じ意味で、敵を殺すというのは思慮の足りない野蛮行為であり、敵を虜にするというのは利益を考えた正当な行為なのである。だから、敵戦車10台以上を捕獲したときは、先駆けの者に賞としてそれを与え、旗印を取り替えて味方の戦車とするのである。降伏した敵兵は手厚くもてなして、味方にするのである。このことこそが、敵に勝って益々強くなるということなのである。」

 と、しています。これを株式投資に置き換えると、

 「これと同じ意味で、利益の出ている銘柄を深追いするというのは、思慮の足りない野蛮行為であり、程々の利益で確定するというのは、株式投資の本質を理解した正当な行為なのである。だから、仕込んで10%以上の利益が出たときは、まず、利益を確定して必要経費等を精算した後、純利益を元金に算入するのである。このことにより、得た利益は3倍の価値を生じることになるのである。このことこそが、「利益が利益を生む。」ということなのである。」

 になると思います。儲けられなかったときの撤退方法については、くどくどと説明して来ましたが、今回は、儲けられたときの撤退方法について説明していきます。儲かっているんだからどうでも良い等と言わないで下さい。その昔、この孫子の著者である孫武の子孫に、孫□(そんひん)という兵法家がいました。彼が斉の威王に見えて、質問されたときに、その質問の一つに、「味方の戦力が、敵を大幅に上回っているときには、どのような対処すれば良いのか。」というのがありました。この質問に対して孫□は、「これこそ、まことの名君の質問です。」と言っています。そもそも、人に意見を求めたいと思うときは、自分が不利なときや、失敗したときであり、有利になったときや、成功したときは、聞く必要が無いと思いがちです。ところが、威王は、敢えてこの質問をしました。それは、兵とは国民であり、兵をできる限り殺さずに勝てる方法を知りたいと思ったからです。また、戦いというものは、例え有利な立場であっても、ちょっとした状況の変化で、あっという間に不利に陥る可能性があることを知っていたからです。そして、孫□も、このことを威王が理解しているとわかったから、「これこそ、まことの名君の質問です。」と言って、称えたのです。ですから、儲かっているときの対処方法についても、儲かっていれば、どうでも良いではないかと思わずに、謙虚に聞かなければならないことなのです。

 さて、まず、利益確定の前提ですが、当初の思惑通りに事が進んだ場合に、「もっと儲けてやろう。」と思って深追いするのは、株式投資の本質を知らない無謀な行為となり、反対に、「もう充分儲かった。」と思って利益を確定するのは、株式投資の本質を理解した正しい行為となります。「もっと儲けたい。」という自分の欲望を抑え、目の前にある儲けを確実に自分のものにすることが、第一なのです。これができるかどうか、つまり、欲望が抑えられるかどうかが、初心者とプロとの分かれ目になるのです。

 そこで具体的に、儲かっているときの撤退方法ですが、まず、言えることは、当初に設定した目標価格を超えれば撤退することです。何のために目標を設定したのか、そのことを考えれば、撤退するのは当然のことです。ただ、何が何でも撤退しなければならないのかと言えば、それはそれで難しいところで、損切りのときみたいな厳格さを、要求されるものではありません。例えば、勢い良く急騰しているときは、その勢いを見ながら、撤退時期を決めれば良いのであって、目標価格に固執する必要はありません。また、下値を固めながら上昇しているのであれば、その上昇トレンドに変化が生じない限り、撤退する必要はありません。ところが、このような臨機応変な撤退の仕方が、誰でもできるのかと聞かれれば、それも無理だと思います。長年の経験と、自制心が必要となるからです。

 そこで、少なくとも言えることは、予想外に儲かったと思えるときには、撤退することです。短期投資ならば、5%も取れれば充分だと思いますが、思いもかけずに10%も取れれば、まずは利益確定のために、撤退することです。また、もっと儲けてやろうと思ったところで、撤退すべきなのかもしれません。そして手数料や税を計算し、儲けを確認してから、その儲けを元金に組み入れるのです。そうすれば、信用取引をしていれば、元金の増加の3倍分の投資余力が生まれたことになるのです。

 ところで、利益確定することが、それ程大事なのかと思われるのではないでしょうか。儲かっているのだから、多少損をしても、持続で良いのではないかと思われるのではないでしょうか。簡単に言えば、含み益というものは「絵に描いた餅」にすぎません。例えば、1,000円で仕込んだ銘柄が、1,100円になったとしても、所有者全員が1,100円で売れる訳ではありません。ごく一部の人しか売れないのです。もし、全員が売ろうとすれば、それこそ値崩れを起こし、ストップ安の連続で、売るに売れない状態に陥ってしまいます。ですから、含み益などというものは、相場の変化で、いとも簡単に飛んでしまうものなのです。ですから、「絵に描いた餅」を本物の餅にするために、利益確定が必要となるのです。そして、確定した利益を確認した上で、仕込んでいた銘柄が、今でも魅力的なのかを、もう一度、考えるのです。魅力的であれば、再度、仕込み直せば良いのですし、それ程と思えば、見送れば良いのです。儲かっているときは、判断や観測がどうしても甘くなります。ところが、一度確定することによって、気分的に新たな仕込みということになり、少なからず冷静さを取り戻すことができるのです。

 このように、利益確定することは、儲けを現実のものにし、浮かれた気分を冷ます効果を持っています。また、儲けを元金に組み入れることから、元金を増やす、つまり、投資に割ける資金が増えるということになります。このことこそが、「利益が利益を生む。」ということなのです。

 そこで、ここでの教訓は、「もっと儲けたい。」という自分の欲望を抑え、目の前にある儲けを確実に自分のものにすることが大事だということです。儲かったと思える程の評価益が出たときは、一先ずその利益を確定する為に撤退するべきだということです。そして、再度、仕切り直しをし、新たな気持ちで相場に臨むことにより、大きな利益へと繋がるということです。


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