第二篇 作戦
☆☆☆株式投資の費用と損切り☆☆☆



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第2節 損切りの重要性
第19回 株式投資の失敗を知ることの必要性

 前回は、塩漬け株を作らないために、儲けを欲張らないことの必要性を書きました。そこで今回は、それを補足するという意味で、株式投資の失敗を知ることの必要性を考えてみたいと思います。孫子は、

 「未だ嘗て、戦争を長期化させて国家に利益があったということは無いのである。だから、戦争の被害を充分知り尽くしていない者は、戦争の利益を充分知り尽くすことができないのである。」

 と、しています。これを株式投資に置き換えると、

 「未だ嘗て、利益に目が眩んで仕込みを長期化させて、投資家自身に利益があったということは無いのである。だから、株式投資の失敗を充分知り尽くしていない者は、株式投資の成功を充分知り尽くすことができないのである。」

 になると思います。みなさんは、株式投資における失敗とは、何のことだと思われているのでしょうか。普通に考えると、仕込んだ銘柄で損をすること、すなわち、買値より売値が下回ってしまったとことだと思われるのではないでしょうか。確かに、1回、1回の仕込みについて考えれば、損をすることが失敗だということになります。しかし、株式投資は、この1回、1回の仕込みではなく、これらの仕込みの総体であり、仕込みの失敗は、株式投資の失敗とは異なるものと理解しなければなりません。以前に申しました通り、株式投資は相対的なものですので、多くの銘柄を仕込みしていると、必ず損をすることが起こります。仕込みを失敗することが起こります。10回仕込みをすれば、少なくても2、3回は損をすると思います。それなら、この2、3回の損を無くせば良いんだと考えがちですが、そんな簡単なことではありません。確かに、仕込みの失敗を無くせば、株式投資の失敗になりようがありませんが、株式投資には、絶対が無いのですから、仕込みの失敗を無くすということはできないと思った方が良いでしょう。そこで、株式投資の失敗とは、この仕込みの失敗の対処に失敗するということだと考えた方が良いのではないでしょうか。

 例えば、「孫子」では、後に申しますが、戦術レベルの敗戦を戦略レベルの勝利で補うということを言っています。つまり、局地的な戦いの敗退は、全体的な勝利で補えるということです。判りにくいことですから、具体的に例をだして説明してみましょう。敵に攻め込まれて、ある戦いに敗れて、撤退したとします。敵軍が領土深く攻め込んでくるときに、同盟国に依頼して、手薄となっている敵国を攻めてもらいます。俗に「囲魏救趙の策」と呼ばれるものです。すると、敵軍は、侵攻を諦めて、自国防衛のために、撤退をせざるを得なくなります。敵にとっては、例えわが国を得たとしても、自国を失っては元も子も無いからです。つまり、負けても、敵を撤退させたのですから、勝ったということになります。このように、1回1回の仕込みの失敗を考慮せずに、成功する方法を、株式投資でも考えなければならないのです。

 そこで、最もポピュラーな方法をお教えしましょう。それは、1勝9敗でも、成功できるように投資方法を組み立てることです。1勝9敗で成功できるかと思われるでしょうが、先にも申し上げた通り、合計で利益が出ていれば良いのですから、1回の利益が、9回の損失を上回っていれば、それで成功といえるのです。そして、そのためには、1回当たりの損をできるだけ少なくするということです。できるだけ損を少なくするとはどういうことかと言えば、まずは、仕込んでから、一度も買値を上回らないような仕込みはしないことです。具体的に言えば、相場の雰囲気に流され、高値掴みをしないことと、逆張りをしないことです。必ず押し目を待ち、下げ止まりを確認してから、順張りをすることです。一度も買値を上回らないのは、我慢できなくなって、高値に飛びついてしまったり、反落中の値頃感から、逆張りをしてしまったりしているからです。そして、買値を上回った銘柄は、上回っている間に、必ず撤退することです。欲深く、10%も20%も儲けてやろうと思うのではなく、買値から1、2円上回っていれば、上値を追う勢いが無いと感じれば、その日のうちに撤退することです。一晩明けて、環境の急変によって寄付きから急落するリスクを考えれば、儲けが無くても撤退するのです。急騰したらどうするのかと考えてしまいますが、それこそ博打です。株式投資では、博打をするものではありません。

 ところで、長期間持ち続けることによる弊害として、「愛着」というものがあります。長期間、利益も無いのに持ち続けてしまうと、ついつい愛着が湧いてきます。また、せっかく儲けが出るようになっても、「ここまで持続しているのだからもっと儲けないと。」という勝手な考えが生じたりします。こうなっては、銘柄の取捨が客観的にできなくなります。ですから、成功したいのであれば、愛着が湧く前に手放す方が良いのです。常に仕込みをしているのではなく、常に仕込みのタイミングを狙っているのを心掛ける方が良いのです。そうすれば、投資チャンスが来たときには、無理なく儲けることができるのです。

 このように、損をしない、または、拡大させないようにすることが、株式投資には最も重要なことです。ところが、多くの投資家は、儲けにばかりこだわり、損を省みようとしません。ですから、9勝1敗でも、全体として損をしているという事態になってしまうのです。そこで、短期投資は短期との割り切りが重要になるのです。もっと儲けてやろうと思って、持続するものではありません。また、下げたけど戻るだろうと思って、持続するものではありません。このような割り切りができるのは、株式投資の失敗の何たるかを知り、考え、理解しているからであり、できないのは、理解していないからです。ですから、株式投資の失敗を知り尽くしていなければ、絶対に株式投資の成功を手にすることはできないのです。当然、成功を手にすることができなければ、成功を知り尽くすこともできません。

 そこで、ここでの教訓は、株式投資で成功したければ、株式投資の失敗を知り、怖れ、対処するということです。成功にばかり目を奪われて、失敗を省みなければ、成功できないということです。成功とは、失敗しないことと考え、失敗を意識して、それを避けようと動くべきなのです。


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