第一篇 始計
☆☆☆株式投資を始める前の注意事項☆☆☆



トップページへ戻る

コーナートップへ戻る


第2節 理解度と勝率
第9回 状況観察の七法

 先の5条件は、株式投資を始めるに当たっては、非常に重要な要素であることは、理解して頂けたと思います。そこで、更に、理解の深さの重要性を考えて、孫武は、7つの項目で観察するよう言っています。それは、

 「だから、より深く理解するために、更に細かく分析して、その優劣を探るのである。つまり、どちらの君主がより国民から支持されているか、どちらの将軍がより有能であるか、どちらの国がより自然的、地理的条件を得ているか、どちらの法令がより厳格に適用されているか、どちらの軍隊がより強力であるか、どちらの兵士がより熟練しているか、どちらの賞罰がより明らかであるか、である。以上のことを分析することにより、戦争を行なう前から、勝敗の行方を知ることができるのである。」

と、しています。これを株式投資に置き換えると、

 「だから、より深く理解するために、更に細かく分析して、その状況を探るのである。つまり、どれだけ欲望を自制して客観的に判断できているか、どれだけ能力的に完成されているか、どれだけ時間的、環境的条件を得ているか、どれだけ原則に従った行動ができているか、どれだけ広範な知識があるか、どれだけ余裕資金で投資ができているか、どれだけ例外を作らずに運用できるか、である。以上のことを分析することにより、株式投資を行なう前から、成否の行方を知ることができるのである。」

 となると思います。5条件を補完し、精度を上げるために、孫武は、この7項目を例示したのだと思います。

@どちらの君主がより国民から支持されているか (「道」)
Aどちらの将軍がより有能であるか (「将」)
Bどちらの国がより自然的、地理的条件を得ているか (「天」、「地」)
Cどちらの法令がより厳格に適用されているか (「法」)
Dどちらの軍隊がより強力であるか
Eどちらの兵士がより熟練しているか (「道、法」)
Fどちらの賞罰がより明らかであるか (「法」)


 前半の@からCまでについては、書かれてある通りですので、説明は不要と思います。そこでD以降についてですが、Fについては、法の下の平等を意味しています。法の適用が不公平であっては、誰も法に従わないということです。Eについては、兵自体の質ということです。よく訓練された熟練兵と、徴兵されたばかりの新兵では、当然、戦力が異なります。最後にDについてですが、これは、5条件から逸脱しているのではないかと思います。軍隊が強力かどうかは、兵器によるのではないかと思われるからです。 これを株式投資に当て嵌めると、次の項目になると思います。

@どれだけ欲望を自制して客観的に判断できているか (「自制」)
Aどれだけ能力的に完成されているか (「能力」)
Bどれだけ時間的、環境的条件を得ているか (「時期」、「環境」)
Cどれだけ原則に従った行動ができているか (「法則」)
Dどれだけ広範な知識があるか (「能力」)
Eどれだけ余裕資金で投資ができているか
Fどれだけ例外を作らずに運用できるか (「法則」)


 前半の@からCまでについては、「孫子」同様、書かれてある通りですので、説明は簡単にしようと思います。

 @は、自分自身が、どれだけ欲望を排除して判断できるかということです。株式投資をする人は、誰も、すすんで損をしたいと思う人はいません。誰もが儲けたいと思っているはずです。儲ける為には、厳しい考えで株式投資に臨む必要があります。株式相場は、真剣勝負の戦場のようなものと考えて下さい。ゴルフのように、初心者だから、下手だからと言って、誰もハンデをくれないのです。名人も初心者も、プロもアマも、みんな五分五分の条件で行なわなければならないものなのです。このことを理解して、欲望に基づく甘い期待を捨てて、欲望を排除した厳しい現実に基づいた株式投資をしなければならないのです。

 Aは、自分自身に、どれだけ株式投資に必要な能力が備わっているかを自覚することです。先に説明した5つの能力について、どの程度備わっているかを自覚することです。そして、欠けている能力については、それを自覚して、それが不足していてもできる株式投資を心掛けなければなりません。また、その能力を高める努力を、日々成功し易くするために、行なう必要があります。

 Bは、自分自身が株式投資を始めようとしたときに、どれだけ時間的、環境的条件が整っているかということです。どんな超一流のマラソン選手であっても、どんな時、どんな場所でも、好記録を出せるという訳ではありません。やはり、好記録を出し易い、時と場所がある訳です。株式投資についても、同じことが言えます。儲け易い時、儲け易い環境があるのです。このことを理解し、儲け難いときは見るだけ、または、遊び程度に投資を自粛することが必要なのです。儲け難いときに儲けた10万円も、儲け易いときに儲けた10万円も、10万円としての価値は同じなのです。

 Cは、どれだけ自分自身の原則に従って行動できるかということです。人はついつい自分に都合が良いように、原則から逸脱して行動します。そのような行動は、よく、臨機応変と言う言葉で正当化しますが、これは臨機応変の意味を履き違えています。まず、原則から逸脱した行為は、殆ど成功しません。何故なら、成功しないから、原則とされていないのです。また、ごく稀に成功することがありますが、それはたまたまであり、これに味を占めると大失敗することになります。それに、臨機応変というのは、自分が持つ数ある原則の中で、当初予定していた状況が急変し、それに応じて適用する原則を変更することを言います。ですから、臨機応変に動いても、原則から逸脱することはないのです。

 次に、D以降のことについて、問題となります。わかりやすい順から説明します。

 まず、Fについてですが、孫武は賞罰の公平性の担保を挙げていますが、同様に、投資方法の公平性の担保が必要だということです。つまり、どんなに思い入れがあっても、どんなに有望であっても、例外は作らないということです。思い入れが強ければ強いほど、上げては利食いできなくなり、下げても損切りできなくなります。持っていることに、喜びを感じてしまうからです。それが、ある意味一生持ち続ける超長期銘柄であれば、問題はありません。ところが、超短期銘柄や短期銘柄であれば、そうはいきません。目先の高値を目指して仕込みしたのに、高値になっても利食いせず、思いに反して反落しても損切りしなければ、結局、大損するしかありません。元々、超短期銘柄や短期銘柄は、需給が命の存在であり、業績等の裏付けが少なく、需給が崩れれば、一気に下落するからです。その下落から、再度立ち直るとしても、何十年かかるかわからないからです。ですから、投資方法、特に短期投資の方法については、例外を設けてはいけないのです。

 次にEですが、孫武は、用いる兵の質に言及していましたが、株式投資では、兵に相当するのは資金ですので、資金の質ということになります。資金に質があるのかと思われるでしょうが、実はあります。それは、大きく分けると、必要資金か、余剰資金かということです。生活費等の必要資金を投資に当てると、決して損はできないということから、安全性を重視しすぎることになります。ところが、株式投資の世界は、最も安全と思われるところが、最も危険なのは、先に説明した通りです。ですから、安全を心掛け過ぎると、知らず、知らずのうちに、危険地帯に踏み込んでしまっているのです。また、反対に、どうでも良い余剰資金を投資に当てると、ついついいい加減な気持ちで、運用してしまいます。すると、せっかくの投資方法も厳格に運用できなくなり、簡単に例外を作ってしまいます。すると、損が損を呼ぶ展開となり、後々にまで禍根を残すような状態に陥ってしまいます。このように、資金の性質は、必要過ぎても、余剰過ぎても、問題があります。ならば、どのような資金が良いのかと言えば、いわゆる中庸が良いのです。必要過ぎず、余剰過ぎず、大事な資金だけど、目先は必要ないという感じのものが良いのです。ある程度、弾力的に捉えられる資金が良いのです。

 最後に、最も難しいDですが、孫武は、軍隊自体の強さを挙げました。この強さには、精神、兵器、練度、数、法制等々、全ての条件のトータルではないかと、最初は考えました。ところが、この条件が締めくくりとして最後にあるのならまだしも、5番目という中途半端な位置にあるということから謎が深まりました。そこで、強力な軍隊を、強力な武器と読み替えることにしました。それなら、他の条件と同じレベルの条件になると考えたからです。そこで株式投資にとっての強力な武器とは何かと考えると、広範な知識であると至りました。先にも申しました通り、株式市場は資本主義社会の縮図と言われているものです。ですから、株式投資のシステムを理解することは、資本主義社会のシステムを理解することと同じです。資本主義社会のシステムを理解するということは、結局、自由主義、引いては人の自由な行動を理解することですから、一生かかっても、完全に理解することは難しい程の量があります。それだけに、資本主義社会をどれだけ知って、理解しているかが武器になると思われます。

 そこで、ここでの教訓は、5条件を確認する上で、7項目について考えてみれば、より見通しが立て易いということです。現実的に考えて、これらの条件が全て整っていなければ始めるべきではないということです。ただ、投資に慣れて、ある程度、臨機応変に対処できるようになれば、自分の投資方法に合致する範囲で、条件を緩めても良いと思われます。


コーナートップへ戻る

トップページへ戻る


 本サイトは、個人的な経験及び考えに基づいて構成されていますので、その内容において、正確性、信頼性および利益性を保証するものではありません。ですから、原因のいかんに関わらず、当方では、一切の責任を負いません。また、本サイトの情報に基づいて行った投資行為その他の損害についても、一切の責任を負いません。投資その他の行為については、自己資金の範囲内で慎重に行うようにして下さい。投資の最終判断、最終責任は、全てご自身でお願いします。