第一篇 始計
☆☆☆株式投資を始める前の注意事項☆☆☆



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第3回 第一の条件「自制」

 孫子は、「道」の説明として、

 「道」とは、国民と君主の意識が同じという政治的条件、つまり大義名分のことである。大義名分があれば、君主の命令でその生死が決定されても、国民は畏れることが無くなるからである。

 と、しています。これを株式投資に置き換えると、

 「自制」とは、自己の欲望を抑えることであり、心理的条件のことである。株式投資で失敗する最大の原因は、楽をして大儲けしたいという安易な考えや、自分に都合の良い考えに基づいて投資を行なうことであり、その考えをどれだけ自制できるかが、成功の鍵を握ると言える。

 となると思います。孫武は、「天・地・人」のうち、「人」を第一の条件としました。戦争という誰もが嫌がるものに、国民を無理やり参加させるには、国民を納得させるだけの理由が必要だということ言っています。大義が無いと、国民は為政者に対して心服しません。すると、脱走者の頻発や厭戦気分が蔓延し、勝てる戦いも勝てなくなります。勝てるものも勝てなくなるということは、そもそも戦争をする意味が無くなるということになります。ですから、孫武は、この条件を第一に置いたのだと思います。

 そこで、このことを単純に考えると、株式投資に反対する配偶者を始めとする家族から同意をもらうことと考えられますが、それが果たして成功するための条件になるのかと考えると、そうは思えません。また、国民を兵士と置き換えた場合、株式投資では、兵士は資金に相当すると考えられます。すると、資金から同意を得るのもおかしい・・・・・。実は、この5つの条件を読み替えるのに、最も苦労したのが、この「道」の読み替えでした。

 そこで、同意を得ると考えるのではなく、戦争で勝つための心理的条件を整備すること、と考え直しました。つまり、株式投資で成功するための心理的条件です。株式投資で失敗するのは、簡単に言えば、欲に負けるからです。儲けたい、損したくないという欲が生じて、判断を誤るからです。みなさんも、仮想で売買しているときは儲かるのに、実戦になるとさっぱりという方が多いと思います。同じやり方で投資しているはずなのに儲からない。それは、相場が悪い訳ではなく、欲が判断を狂わすからです。

 自制とは、文字通り「自らを制する。」です。ここで言う、「自ら」とは「自分の欲望」と、また、「制する」とは「管理する」と、理解して頂ければ良いと思います。ですから、「自制」とは、「自分の欲望を管理する。」ということになります。「自分の欲望を管理する。」とはどういうことかと思われる方が多いと思いますが、簡単に言えば、我慢するということです。人と言う生き物は、安易に流れるという習性があります。また、すぐに調子に乗ったり、自分にとって都合が良いように物事を判断しようとしたり、自分にとって都合が悪いことを忘れようとしたりします。実は、これらの習性が、株式投資にとっては失敗する原因になります。ディーラー相手に相場を張るのですから、日々弛まぬ努力が必要になります。面倒だと思っても、安易に流れては成功できないのが株式投資なのです。また、一寸先の株式相場の動きは誰も知ることはできないのですから、調子に乗ってはいけません。思惑通りに銘柄が動き、「儲かった。」と思ったところで撤退しなければならないものなのです。「もっと、儲けてやる。」と思ったところが、実は地獄の入り口ということが多いものなのです。そして、株式投資は失敗できないのですから、自分にとって都合が良いように判断してはいけません。思惑に反した銘柄に対して、「もう少し持続すれば反転するだろう。」と思ってはいけないのです。自分の思惑を裏切った銘柄は、何度も裏切り続けます。これは、株式も人間も同じです。裏切り者は、裏切り続けることを理解しなければならないのです。その上、同じ失敗を繰り返すことはできないのですから、自分にとって都合が悪いことを忘れてはいけません。株式投資に失敗する人は、いつも同じパターンで失敗します。高値掴みの安値売りがそれです。これは自分の失敗という経験を、失敗として積み重ねているのではなく、ただ、忘却の彼方に沈めているだけであり、何ら実のあるものになっていないからです。せっかく積み重ねた経験なのですから、失敗した原因を調査し、二度と同じ失敗を繰り返さないようにしなければならないのです。このような理由から、「欲望を管理する。」ということが必要になるのです。

 ところで、「欲望を管理する」のではなく、「欲望を無くす」方が良いのではないか、と思われる方が居られるでしょう。しかし、「欲望を無くす」ということは、できないのです。何故なら、「欲望を無くす」と思うこと自体が、欲望だからです。それに、本当に欲望が無ければ、儲けることはできません。儲けようと思うことは欲望であり、欲望が無ければ、株式投資などする必要もないからです。そういう意味で、株式投資には「寡欲」が向きます。大きな欲望を抱かずに、小さい欲望に満足することが必要だということです。欲望の前には謙虚であれということです。晏氏春秋に「利に幅する。」という言葉があります。人にはそれぞれ管理できる利益には幅があり、それを超えて欲望により利益を貪れば破滅するし、足りなければ満足に暮らせないということです。この言葉は、投資家にとっては、「金言」と言えるものでしょう。

 そこで、ここでの教訓は、当然、自分の欲望を管理し、客観的に相場に臨むということです。自分の欲望を管理するのは難しいでしょう。自分の判断の中で、どれが欲望からくる主観で、どれが客観かを知るのは、考えれば考えるほど困難だと思います。そこで、考えるときは、いつも最悪のケースを想定して相場に臨んでください。上がると思って買う銘柄は、下値不安はどこまであるだろうかを考えて下さい。絶好の相場に遭遇したときは、反落の危険性はどれくらいあるのだろうかと考えて下さい。すると、多少は、客観的な判断ができるようになると思います。良いときは悪いことを、悪いときは良いことを考えることによって、主観によって行き過ぎた考えに、客観性を注ぎ込むことができると思います。


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