戦 国 策
☆☆☆人の前で上手に話す方法を徹底追求☆☆☆



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斉 策
第30策 相手の憎しみを逸らす方法

 田嬰は、貌弁(ぼうべん)という食客を重用していた。余りの重用ぶりに、周囲の者が諌めたが、聞き入れなかった。田嬰は、貌弁を最高の屋敷に住まわせ、自分の子供を従者の如く付き添わせて、身辺の世話をさせていた。

 田嬰の兄である斉の威王が亡くなった時のこと。威王の子の宣王が即位したが、宣王と田嬰は、そりが合わなかった。そこで宣王は、田嬰に宰相の職を辞させて、薛に押し込めてしまった。そこで、貌弁は、田嬰のために、宣王に拝謁を願った。

 「先生は、靖郭君(田嬰のこと)に重用されていると聞いている。さぞかし、何でも意見を聞き入れてもらっているのだろう。」

 「はい、重用して頂いているのは事実ですが、何でも聞き入れて頂いている訳ではありません。」

 「ほう、例えば。」

 「はい、以前、こんなことがございました。私が、『今の太子は、人相が良くない。顎がしゃくれて、目は腫れていて、あれは反骨の相です。先々必ず災いを及ぼすことになりますから、あの太子を廃して、衛姫が産んだ子を太子とするように威王に申し上げるべきだ。』と申しました。」

 「なに!!」

 「そうしたら、靖郭君は、『ならぬ、そんなことができようか。』と申されて、お泣きになり、私をお叱りになられたのです。もし、靖郭君が私の言を採用されていれば、今のような憂き目に遭われなかったはずです。」

 「・・・・・。」

 「また、最近には、こういうこともございました。楚が、薛に数倍する領土を、薛と交換して欲しいと申し入れてきました。私は、是非そうしなさいと申し上げました。ところが靖郭君は、拒否されました。『今の王とそりが合わないからと言って、先王から拝領した薛を明け渡すなどということはできぬ。』と申されました。このように、私は、確かに靖郭君に重用されていますが、全てを聞き入れられている訳ではありません。」

 「そうか、そういうことがあったのか。私は知らなかった。私は未熟者ゆえ、靖郭君を誤解していた。先生、すまないが、靖郭君を再びこの朝廷に呼び戻して頂けまいか。」

 「かしこまりました。」

 相手の憎しみを自分を向けさせ、今まで憎まれていた人を弁護する方法である。ただ、この場合、相手の憎しみが自分に集中する場合があるので、相手の器量が小さければ、危険が大きいので注意が必要となる。


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