戦 国 策
☆☆☆人の前で上手に話す方法を徹底追求☆☆☆



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斉 策
第27策 蛇足

 楚の将軍である昭陽(しょうよう)が、魏軍を打ち破って大将を殺し、八城を攻め取った。昭陽は、余勢を駆って、今度は斉に攻め込んだ。陳軫(ちんしん)は、昭陽と旧知の間柄だったので、斉王に頼まれて、使者として会った。そこで、陳軫は、昭陽に問うた。

 「楚では、敵の大将を殺せば、どのような恩賞をもらえましたかな。」

 「大臣に列せられて、領地を授けられます。」

 「それより上はありますか。」

 「あとは、宰相だけです。」

 「宰相だけですか。それなら貴殿のために、一つ例え話を致しましょう。」

 「ほう。」

 「私がまだ楚に居た頃のこと。ある家で祝い事があり、奉公人たちにも、盃一杯の酒が振舞われました。一人で飲めば盃一杯で充分ですが、奉公人たちの数は多いですから、みんなで分ければ盃一杯では少な過ぎます。そこで、彼らは、地面に蛇の絵を描いて、最初に書き上げた者が飲むということにしたのです。そこで、話しが纏まり、みんなで蛇の絵を描いたのですが、一人の男だけが物凄く早かった訳です。一人だけがあっという間に書き終えて、盃を片手に、更に蛇に足をつけて言ったそうです。『オレは、まだ蛇に足を描く時間もあるぞ』と。そこに、二番目に書き上げた男が、徐に盃を奪い、『それは蛇ではない。蛇に足は無い。』と言って、盃の酒を飲み干してしまったそうです。最初に蛇を描いた男は、いらぬことをして、せっかくの酒を失ってしまったのです。」

 「そんな話をして、何が言いたい。」

 「貴殿は、既に楚の大臣として、魏に攻め込んで魏軍の大将を殺し、八城を攻略した。そして、今、余勢を駆って斉まで攻めようとなさっている。今、あなたは先の戦功で、宰相の地位が約束されているはずです。ここで斉を攻め破ったとしても、恩賞が増えるということはありません。宰相より上の地位は無いのですから。それに対して、万が一、窮鼠と化した斉に敗れれば、先の戦功が無に帰してしまい、宰相の地位が無くなってしまいます。勝敗は兵家の常と言われるように、例え貴殿であっても、必ず勝てるとの保障はどこにもありません。これは、先の男の蛇足と同じだと思われませんか。」

 「・・・・、それもそうだ。」


 昭陽は、あっさりと兵を引いた。

 この話が、日本でも有名な「蛇足」の原典である。このように、本来は報われない功績というものを蛇足と言い、リスクマネジメントの一つとして考えられる事である。


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