戦 国 策
☆☆☆人の前で上手に話す方法を徹底追求☆☆☆



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斉 策
第25策 上手く進言する方法@

 王斗という説客が、斉の宣王に拝謁を願った。宣王は、自ら出迎えず、臣下に案内するように命令した。ところが、王斗は宮殿に入ろうとせずに言った。

 「私のほうから王の下に参ると、あの者は権力に弱いと言われる。王自身が出迎えてくれれば、あの王は人材を好むと言われる。王はどちらを選ばれるのでしょうか。」

 この報告を受けた宣王は慌てて、

 「先生には、暫くお待ち頂きなさい。直ぐに参ろう。」

 と急いで席を立って、玄関に向かった。宣王は、玄関で丁寧に出迎えて、奥に招き入れた。そして、辞を低くして言った。

 「私は父の後を継ぎ、一国の政治を預っている。先生は、誰に対しても直言を憚らぬ方だと聞いています。」

 「いえいえ、そんなことはありません。なにしろこの乱世に生まれて、ろくでもない君主に仕えなければならないのです。うかつに直言などできません。」

 宣王は、ムッとした。その表情を見逃さなかった王斗は、暫くしてから言った。

 「私は、桓公は5つのものを好んだがゆえに、覇者になれたのだと聞いています。そして、陛下は、その中の4つまでもを、既に好んでおられることと推察いたします。」

 「ほう、その4つとは一体なんだ。」

 「桓公は、馬を好まれましたが、陛下も馬を好まれます。桓公は、犬を好まれましたが、陛下も犬を好まれます。桓公は、酒を好まれましたが、陛下も酒を好まれます。桓公は、女を好まれましたが、陛下も女を好まれます。桓公は、人材を好まれましたが、陛下は人材だけは好まれません。」

 これを聞いた宣王は、怒って言った。

 「人材を好まないのは私の責任ではない。好みたくても、人材がいないのだ。」

 「果たしてそうでしょうか。今の世に麒麟や碌耳(両方とも伝説の名馬)が居なくても、陛下は馬を好まれる。盧氏(伝説の名犬)が居なくても、陛下は犬を好まれる。西施や夏姫(伝説の美女)が居なくても、陛下は女を好まれる。それなのに、人材が居ないから好めないというのは、辻褄が合わないと思われませんか。だから私は、陛下が人材を好まれないと申し上げたのです。」

 宣王に対して普通に人材を好むように進言しても聞き入れられないであろう。まずは、宣王を怒らせた後に喜ばせて、会話の主導権を握る。そして、宣王が崇拝する桓公と比較して、その足りない部分として人材登用を進言する。たった一つをクリアすれば、桓公と同じになれるということであれば、宣王としても聞き入れようと考えるだろう。


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