戦 国 策
☆☆☆人の前で上手に話す方法を徹底追求☆☆☆



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斉 策
第23策 己の過ちを見付ける方法

 斉の宰相であった鄒忌(すうき)は、威丈夫の美男子で有名であった。ある日、正装して鏡で自分の容姿を見ているときに、妻に尋ねた。

 「私と城北の徐公とでは、どちらが威丈夫だろうか。」

 「いくら徐公でも、あなたにはかないませんわ。」

 城北の徐公は、斉国一の美男子と呼ばれるほどの人である。鄒忌は、妻の言葉を信じかねた。そして、妾に再び尋ねた。

 「私と城北の徐公とでは、どちらが威丈夫だろうか。」

 「もちろん、わが君ですわ。」

 翌日、鄒忌の家に客が訪れた。鄒忌は、話の途中で、その客に聞いてみた。

 「私と城北の徐公とでは、どちらが威丈夫だろうか。」

 「考えるまでもない、あなたですよ。」

 次の日、徐公が鄒忌を尋ねてやって来た。鄒忌は、しずしずと徐公を眺めて、とてもかなわないと思った。そして、

 「皆があのように言ったのは、妻は身贔屓からだし、妾は私が怖いからだし、客は歓心を買いたかったからだ。」

 と、考えた。そこで、鄒忌は参内して、威王に上申した。

 「私は、先日までは、私自身が斉国一の美男子だと思っていました。ところが、先日、徐公に会って、よくその容姿を拝見したところ、そのことが明確に間違いだと気付きました。私など、徐公の押し下にも及ばなかったのです。それなのに、妻や妾、客たちは、皆、私の方が美男子だと言いました。つまり、妻には身贔屓が、妾には怖れが、客には歓心を買いたいとの考えがあったからです。そこで、陛下に申し上げたいのは、斉は千里四方の広大な領土を持ち、有する城は120もあります。当然、お側に仕える側近たちは、陛下を身贔屓しますし、臣下たちは怖れますし、国中の者たちは、歓心を買おうとするでしょう。となると、陛下には、本当のことが伝わって来ないのではないかと危惧しております。」

 「鄒忌よ、良くぞ申した。」

 威王は、早速、次のようなお触れを出した。

  一 王の過ちを直接指摘した者には、上賞を与える。
  二 王の過ちを書面で諌めた者には、中賞を与える。
  三 王の過ちを口伝で諌めた者には、下賞を与える。


 お触れが出ると、始めのうちは、諫言に来る家臣が王宮に入れないくらいだったが、数ヶ月もすると来るものもまばらとなり、一年が過ぎると来る者はいなくなった。諫言したくても、威王に過ちがなくなったのである。

 君主たる者は、いつも耳に心地よい言葉しか聞かない。ところが、その言葉は、自分の君主としての地位を蝕む害虫と考えなければならない。君主として一生を全うするには、何事に対しても謙虚に耳を傾けなければならない。


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