韓子(韓非子)
☆☆☆人と上手に付き合うための方法を徹底追求☆☆☆



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第30篇 内儲説(上)
第10話 三人市場虎を為す話

 魏の太子が、趙の邯鄲に人質として行くことになった。その随行員として選ばれた家臣の一人が魏王に言った。

 「陛下は、『市場で、虎が出た』という話をお聞きになれば、お信じなさりますか。」

 「虎が市場のような人が多いところに出る訳がない。信じる訳は無いだろう。」

 「それでしたら、二人の者からそのように聞かれればどうですか。」

 「信じる訳無いだろう。」

 「三人でしたら。」

 「うーん、三人だったら、もしや、と思うかも知れない。」

 「陛下が先ほど言われたとおり、虎は元来警戒心の強い動物ですので、人が多く集まる場所には、絶対に姿を現しません。それなのに、三人の者から同じことを言われれば、もしかしたら、と考えてしまうのが人情なのです。これから私は、太子のお供で邯鄲に行きます。そこで、私のことを快く思っていない輩が、この時とばかりに、私が裏切ったなどという悪口を陛下のお耳に入れるでしょう。その数は、3人程度では済みますまい。私は、陛下のためなら、どのような苦難にも立ち向かうつもりです。私が恐れるのは、ただ、陛下からの信頼を失うことだけなのです。陛下は、どうかこのことを思い出して頂いて、私に対する讒言を信じて頂きたくは無いのです。」

 「わかった。決して讒言を信じずにお前を信頼しよう。」

 ところがねこの家臣が邯鄲から帰ってきたとき、魏王は既に讒言に惑わされていて、目通りすら適わなかった。

 どんな嘘でも、3人別々に言われれば、もしかしたら本当かも、と思うのが人間の常である。君主たる者、このような妄言に惑わされずに、何が真実かを見極めなければならない。



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