韓子(韓非子)
☆☆☆人と上手に付き合うための方法を徹底追求☆☆☆



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第11篇 孤憤
第3節 支配権とは


 法術家は、そもそも『重臣』と並存できない立場にあるので、その身はいつも危険に晒されているのです。『重臣』は、法術家を無実の罪で処分することができるときは、合法的に始末しようとします。反対に、無実の罪で処分することができないときは、刺客に始末させようとします。つまり、法術家という者は、役人に殺されるか、刺客によって殺されるかが、運命にあるのです。反対に、『重臣』に取り巻き、君主の判断を鈍らせ、法を捻じ曲げて私利を図ろうとする輩は、必ず『重臣』の信頼を得ているものです。だからちょっとした功績でも立てると、直ぐに『重臣』の助言により官爵を与えられ、その功績が無いときは、『重臣』が外国の力を利用して重要人物に仕立てて、官爵を与えられるようにするのです。それに対して今の君主は、証拠調べもせずに刑罰を科したり、功績の事実を調べもしないで官爵を与えたりしています。このような状況下で、どうして法術家が、自分の命を賭してまで、君主に直言することがあるでしょうか。どうして奸臣達が、私利を捨ててまで、その身を退くことができるでしょうか。このようにして、君主は日に日に権力を奪われ、『重臣』は日に日に権力を得ているのです。

 中国西南端に位置する越国は、作物は豊富で、兵も強力ですが、自国の利益にならないということを、諸侯であれば誰もが知っています。何故なら、遠過ぎて、その地にまで支配が及ばないからです。今の諸侯は広い領土と多数の人民を支配しているように見えますが、その支配権は『重臣』に奪われており、あたかも越国のような存在になっています。越国は支配できないということを知っているのに、自国を支配できないということを知らないのは、支配の意味を理解していないからです。人々が、『斉国が滅んだ。』と言うのは、その城や領土が無くなったからではありません。君主である呂一族(太公望呂常の末裔)が支配権を無くし、代わって宰相の田一族が支配権を獲得したからです。人々が、『晋国が滅んだ。』と言うのは、その城や領土が無くなったからではありません。君主である姫一族(周の武王の末裔)が支配権を無くし、代わって大臣六家が支配権を獲得したからです。今、『重臣』の専横が甚だしいのに、君主は実権を取り戻そうとはしない。これは、君主が無能だからです。ただ死を待つだけの病人を延命させることができないように、滅亡を待つだけの国を存続させることはできません。今の諸侯は、斉国や晋国と同じ過ちを繰り返しながら、国家の安泰を希望しています。このような希望は、当然、叶うわけが無いことは明らかなのです。



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