韓子(韓非子)
☆☆☆人と上手に付き合うための方法を徹底追求☆☆☆



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第10篇 十過
第7節 留守は危険のもと

 『長く首都を離れて遠方に旅行し、忠臣の諫言をも無視して、身を危険に晒すこと。』とはどういうことか。

 昔、斉の宰相だった田成子が、領土を離れて海沿いの町を旅していたときのこと。その旅行が余りに楽しかったので、田成子は、『帰国するよう諫言した者は殺す』と命令を出した。それにもかかわらず、側近の一人は諌めた。

 「今、海で楽しい時を過ごされても、国許で謀略が巡らされていればどうされるのですか。楽しもうにも、楽しめなくなりますぞ。どうか帰国して下さい。」

 「『帰国するよう諫言した者は殺す』と命令したにもかかわらず、帰ろうと言うのか。約束どおり手打ちにしてくれる。」

 怒った田成子は、腰の刀を抜くや、その側近の首を刎ねようと身構えた。その姿を見て、その側近は更に言った。

 「昔、夏王国の傑王は、忠臣の関竜逢を殺し、殷王国の紂王は、孝行息子の比于を殺して国を失いました。陛下が今、私めを手打ちにされて、3番目の事例を作られるというのなら、どうぞお好きにされればよろしいでしょう。私は国を憂いでいるからこそ申し上げたのであって、わが身の為に申し上げたのではありませんから。」

 そう言うと、その側近は、自分の首を田成子の前に伸ばした。

 「さあ、どうぞ。」

 田成子は、わなわなと振るえながら身構えていたが、とうとう刀を振り下ろすことはできなかった。元々、田成子は、名君の誉れが高い人物であったため、その側近の諫言が正しいと言うことがわかっていたからである。田成子が、その諫言に従って帰国すると、その3日後に謀叛の企てがあったことが露見したのである。田成子が、後年斉の君主に取って代わることができたのも、偏にこの側近の諫言のお陰である。

 だから、『長く首都を離れて遠方に旅行し、忠臣の諫言をも無視して、身を危険に晒すことになる。』と言うのである。

 あなたにとって、一番大事なものは、今の楽しい時間を過ごすことですか。それとも、他にあるのでしょうか。他にあるのであれば、それを奪われないように気をつけるべきなのです。あなたの敵は、いつも、その大事なものを、虎視眈々と狙っているはずです。



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