韓子(韓非子)
☆☆☆人と上手に付き合うための方法を徹底追求☆☆☆



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第10篇 十過
第6節 美女は亡国のもと

 『女舞(美女)に現(うつつ)を抜かして国政を顧みず、国を失うこと。』とはどういうことか。

 昔、戎国王の使者として、由余が秦国の穆公に謁見したときのこと。

 穆公が、由余の才覚を試そうと思い質問をした。

 「昔の君主が国を建てたり、滅ぼしたりしたのは、すべて『道』が原因だと聞いたことがある。しかし、これまでその事実を目の当たりにしたことが無い。」

 この質問に対して由余は答えた。

 「私も聞いたことがあります。その『道』とは倹約のことであって、倹約により建国し、奢侈により滅亡するものなのです。」

 「私は恥を忍んで先生にお聞きしているのに、それを倹約の一言で済まされるおつもりですか。」

 「いいえ、そういうつもりではありません。真実を言ったまでのことです。昔、尭帝は素焼きの茶碗とコップを使用し、質素な生活をしていました。その為、北は幽州から南は交州、東西は日の出入りする地域まで、遍くその支配に服しました。尭が天下を舜に譲ると、舜は漆器を作りました。木を切り倒して、鋸(のこ)で切って鑢(やすり)をかけて漆を塗り、宮殿に運んで食器としました。そのことを知った諸侯達は、奢侈になったとして反発し、服従しなくなった国が13になりました。舜が天下を禹に譲ると、禹は祭器を作りました。漆を塗る以外に、その内側を朱に塗り、きめ細かい布で褥(しとね)を作り、履物には飾りをつけ、盃と柄杓には色をつけ、樽や供え台には飾りをつけました。諸侯達は、より奢侈になったとして一層反発し、服従しなくなった国が33になりました。夏王朝が滅亡して殷王朝になると、輿を作って旗指物を立てたり、食器には飾り彫りをしたり、杯と柄杓には彫り物をしたり、壁面は真っ白にし、褥は模様で飾られるようなりました。諸侯達は、益々奢侈になったとしてより一層反発し、服従しなくなった国が53にもなりました。このように、支配者は皆奢侈を好みますが、支配される側は、支配者の奢侈を嫌います。嫌われるからこそ反乱され、国が滅びるのです。ですから私は、倹約が道と申し上げたのです。」

 「そうか。」


 穆公は納得した。由余が退室した後、穆公は慌てて側近の寥を呼び出して言った。

 「隣国の聖人は、敵国の憂いであると聞いている。今、私は由余が聖人であると知り、心配でたまらないのだ。どうすれば良いのだろうか。」

 「戎国は辺境に位置し、その住人は未だに中国舞楽を聴いたことが無いという話を聞いたことがあります。ここは一つ、美女の舞楽団を戎国王に差し出してはいかがでしょう。必ずや戎国王は快楽に耽り、政治が乱れることになるでしょう。また、由余殿を暫くわが国に止めておくのです。そうすれば由余殿の諫言も届かなくなり、君臣の心も離れることになるでしょう。」

 「うむ、わかった。早速、送り込むことにしよう。」


 そこで寥は、すぐさま28人からなる美女の舞楽団を引き連れて、西戎国に向かって王に謁見した。

 「わが殿が由余殿を大層気に入られて、もう暫く教えを受けたいので、秦にとどまらせることをお許し頂きたいと申しておりました。なおここにいる女達は、わが君から、王様に対する心からの贈り物です。」

 「おおそうか。構わん、構わん。」

 西戎国王は、早速、宴を催してその舞楽を楽しんだ。西戎国王は、寥が帰国した後もその舞楽の虜となり、毎日酒宴を開いてはこれを楽しむようになった。そんなことが一年以上続いた頃、由余はやっと帰国した。由余が帰国した頃には、既に遊牧を等閑(なおざり)にしていたため、牛馬の半数が死んでいた。その現状を目の当たりにした由余は、西戎国王に諫言したが、全く聞き入れなかった。厭きれた由余はとうとう秦国に出奔してしまった。穆公は、由余を重臣として迎え入れ、西戎国の兵力や地形の情報を手に入れた。その後、西戎国の討伐を開始し、12ヶ国を併合して千里四方の領土を得た。

 だから、『女舞(美女)に現(うつつ)を抜かして国政を顧みず、国を失うことになる。』と言うのである。

 あなたは、彼女と仕事と、どっちが大事ですか??これを考えるとき、今の彼女との生活は、仕事という土台の上に成り立っているのかどうかを考えてください。もし、仕事という土台が無ければ、彼女との甘い生活が確保できないのなら、仕事を犠牲にはできないはずです。それは、仕事を失えば、彼女との生活も破綻してしまうからです。西戎国の王も、そのことがわからなかったのでしょうね。



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